【仕事】元兵庫県議員野々村竜太郎初公判に思うこと。

野々村01

フジテレビさんの依頼で1月26日に神戸地裁で行われた
元兵庫県議員野々村竜太郎初公判の法廷画を担当しまして、
27日放送のフジテレビ「とくダネ!」や「直撃LIVEグッディ」にて使用されました。

野々村被告人は政務活動費の不適切支出をめぐり、
詐欺罪と虚偽有印公文書作成・同行使罪で起訴されており、
釈明会見で号泣したことが話題になったことから、
初公判での反応が注目されていました。

10時半、開廷。
まず、弁護人と共に入廷してきた被告人を見ても
すぐ誰だかわからなかったほどの変貌ぶりに驚きました。
表情は眉をハの字に下げ、一点を凝視する力の入ったものでした。

野々村06

他局では小太りしたという報道もありましたが、
輪郭ラインがむくんでいる(もしくは加齢でたるんでいる)ように見えただけで、
特に太ったとは感じませんでした。

言葉は常にハキハキとしており、前回の公判を欠席したことに対して
裁判長や弁護人、検察官や傍聴席にまで各方面に謝罪する被告人。

野々村05

「不安を感じたり緊張したりすると右耳でしか人の話が聞き取れない」と主張し、
自分の左側にいる検察官の話は身体をねじって右耳を向ける被告人。

顔面は異様に強張っており、血管が浮き出るほど紅潮していて、
この人は真面目に人の話を聞こうとしているのだろうなと感じました。

野々村07

しかしながら公判も中盤以降はほぼ会話が成り立たず
検察も裁判官も苦笑を禁じ得ないという有様。

罪状認否では起訴内容を否認。
加工されたレシートなどは
「証拠品として押収された以上、別の人間がやった可能性も」と
警察による陰謀を仄めかす一面もありました。

しかしこの「レシートの加工」の方法が、
修正テープを貼って、上からボールペンで書き直すという手法で
証拠品がモニターに映しだされた瞬間、その稚拙さに驚きました。
なぜこれでバレないと思ったのか。

野々村02

どのくらい会話が成り立っていないかというと、例えば

検「このリンゴは赤いですか?」
被「質問の意味が理解できません」
検「ではもう一度、この、リンゴは、赤いですか?」
被「いえ、富士山は世界一の山ではありません」

・・・くらいの致命的なズレがありました。

野々村04

途中抜けながらも10時半の開廷から16時すぎの閉廷まで見ましたが、
発言、表情、挙動、主張内容、声のトーンまですべて異様で
これは病気の人だな」という印象を持ちました。

ふざけていたり、異常なフリをした演技などでは無いと感じました。

仮にそうだとして、もし自分が同じ病気を患っていたら、
同じように支離滅裂な発言をしたかもしれません。
極度の緊張による記憶障害も併発し「覚えていません」と連発したかもしれません。
そう考えるととても彼の例の会見を含め笑い者にする気にはなれませんでした。

というより、公然とバカにして良い他人などいないと僕は思います。

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・・・という旨のツイートをした矢先、
「犯罪者を擁護する気か」
「病気なら何をしても許されるのか」
「医者でもないのに勝手に病気だと断定するな」等のご意見いただきました。

念のため書いておきますが、犯罪者を擁護する意図はありません。
あくまで個人の感想であって被告人が病人であると断定するものでもありません。
事実は明るみにされるべきであり罪は償われるべきだと考えますが、
ネットでの意見を散見して感じる、無責任な私刑が過激化する現状を
危惧しての発言でした。

画面の向こうでしか知らない他人を、犯した罪のスケールを度外視して
無限にサンドバックにしてよい法は無いし、
見た目や(可能性が指摘されている病気による)振る舞いをここまで茶化して
娯楽化してしまうのは本件とは別のベクトルにある人権問題だと感じています。

見た目のイメージが少なからず活動に影響する世界に身を置く人が、
頭髪の薄さからカツラをかぶることはそんなに面白いことでしょうか。

なにかしらの症状によって常人とは異なる振る舞いや発言をしてしまう人が
いたとして、それがそんなに面白いことでしょうか。

僕自身、トゥーレット症候群という神経症を患っていますが、
症状が激しい時の僕の挙動など、病気に無理解な方が見たら
きっと狂人に見えることでしょう。もう20年付き合っている病気なので
外出先で発症したとき、周囲から奇異な目で見られることに慣れてはいますが、
野々村被告人の言動を笑う人は、きっと僕のことも笑うでしょう。

犯した罪は罪、卑劣な犯行ですから厳しく断罪されなければならないと思います。
しかしそれは然るべき法によって然るべき場所で然るべき手順に乗っ取り
粛々と行われるべきであり、
「コイツは悪い税金泥棒だからとことん笑いものにしてやろうぜ」
という意識は危険な方向へ社会を向かわせるのではないかと思うのです。

以上、号泣会見が繰り返し報道されていた2014年当時から
ネット上の反応に対して感じていた違和感を書き出してみました。

自分は、何を面白いと思って笑う人間なのか、
一度は胸に問うてみるのもよいかもしれません。
そんなことをつらつらと考えた野々村初公判に関する雑感でした。おしまい。

※連投ツイートがTogetterでまとめられました。
法廷画家榎本よしたかさんの、元兵庫県議野々村被告の公判に関する投稿まとめ

※その後Yahooニュースに取り上げられました。
新型「聞こえません」ポーズ披露などと報道 野々村被告の行き過ぎた「お笑い化」は人権問題だ、との指摘が
プロフィール

榎本よしたか

Author:榎本よしたか
フリーランスのイラストレーター兼法廷画家です。書籍やテレビ番組用に絵を描いています。アコースティックギターと歴史雑学が好きです。

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