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【日記】イラストレーターと料理人

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とある投稿を見て思うところがあったので、自分の職業「イラストレーター」について少し語ってみたいと思います。

フリーランスのイラストレーターって僕は料理人と似ているなぁと前々から思っていて、お客さんの要望を聞いて料理を提供するお仕事と基本は同じじゃないかな、と思っています。世間に名を轟かせるカリスマシェフもいれば街の定食屋さんもいて、それぞれ必要とされて存在していると思うんです。

カリスマシェフになれるのは1万人に1人、だから安易に料理人を目指さないほうがいい!と調理師学校の学生に言う人はちょっと聞いたことがないのですが、クリエイティブ界隈だとわりと耳にする忠告だったりします。群雄割拠の萌え絵業界に置いてはなるほど正しい意見に聞こえますが、実はその裾野は広い。

どの駅前にもひとつふたつある定食屋さんが地元民に愛されて長年経営できているように、有名ではないけれど、喜んでくれる誰かがいて、それを供給しつづけることで食べていけるというクリエイティブ界隈もあると思うんです。

僕は自分をそんな定食屋さんのような存在だと思っていて、餃子定食も出せばミートスパゲティも作るように、ほのぼのイラストも描けば、リアルイラストも描きます。もし誰かに「高級フレンチのフルコースが作れないような料理人はプロの料理人じゃない!」的なことを言われたとしても「僕とは関係ない話だな」という感じです。

僕の場合、法廷画というちょっと変わったメニューを出しているのでたまにメディアに注目されて出演したりもしますが、これも風変わりな料理を出す定食屋がたまにテレビに出ているのに似ているな、と思っています。「トンカツにメープルシロップ?!果たして合うのでしょうか、突撃取材してみました!」的な。

イラストを料理に例えるのは結構有効な気がしていて、たとえば納品後にクライアントが「結局これとこれ使わなかったからその分料金無しでいいですか?」と言われた時(何度かある)、注文した料理を食べなかったからお金払わないと言ってわかりましたというレストランがあるでしょうか、と例えるとこちらの言い分がスムーズに分かってもらえたりします。

修正依頼があったときに修正費がかかりますと言うと渋い顔をされたときなどにも有効で、デミグラスハンバーグを依頼されて、作っている最中に「やっぱり和風ハンバーグにして」と言われたら途中でも無償で対応できますが、「やっぱサイコロステーキにしてくれる?」と言うレベルの修正だと「では追加料金いただきます」となるでしょうというと伝わります。

ろくに包丁も握らないで「あーー料理うまくなりてぇなー」なんて言うだけの人はもちろん論外ですが、それはどの業界でも同じこと。描いてもないのに絵はうまくなりません。けれども人に喜んでもらえるように絵を練習して必要とされて、人が喜んでくれたことを自分の喜びとできるような人には道は開けると思います。

なので、プロを目指す学生さんには、調理師学校を卒業して定食屋さんになるのも、コンクールで優勝するような一流シェフを目指すのも、どこかと契約してチェーン店を開くのも自由、いろんな道、いろんな生き方があるんですよと言うように、クリエイティブ業界にも道が多岐にわたっていることを伝えてあげるのが業界にとってもいいことなんじゃないかなぁ感じています。

どうしてもスポットライトが当たっている場所ばかり目立ってしまうので、この業界でやっていくにはあそこに立つしか道はない!なんて思ってしまいがちですが、あそこに立てた者が勝ち、立てなかった者は負け、といった価値観で固定してしまうよりも、自分の強みは何か、自分の武器は何か、自分には何ができて何が向いているのかを試行錯誤の中で見極めて、自分に合った道を見出していくということがクリエイターとして大切なことなんじゃないかなぁとそんなことを思ったのでした。おしまい。

プロフィール

榎本よしたか

Author:榎本よしたか
フリーランスのイラストレーター兼法廷画家です。書籍やテレビ番組用に絵を描いています。アコースティックギターと歴史雑学が好きです。

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