【日記】文句無しにオススメの一冊「永遠のゼロ」。

海上自衛官の友人Oくんのオススメで読み始めた百田尚樹著作「永遠のゼロ」。
いやはやこれはかなりのヒットです。
仕事が多忙になってから数年まともに小説を読んでいなかったのですが
こちらは移動時間や寝る前の数十分を割り当てて一ヶ月で完読。
一ヶ月もかかるのかと思われるかもですが、遅読の僕は普通この厚さの小説だと
二、三ヶ月かかります。たしか東野圭吾の「白夜行」で四ヶ月かかった記憶が
文庫、僕的にコスパ良すぎです。

さてこの「永遠のゼロ」、既に実売部数100万部突破という激烈な売れっぷりなので
ご存知の方も多いと思うのですが、どのあたりがツボだったかといいますと

最愛の妻と娘のために生きて帰ることを心から望んだゼロ戦パイロット

もうこの設定だけで、今の僕にはハート鷲掴みなわけです。
男は新婚、娘は産まれたばかり。わかる。わかるぞ宮部久蔵!
と架空の主人公に思いっきり感情移入してしまうのでした。

物語は現代から始まり、主人公の孫であるウダツのあがらない青年が
顔も知らない祖父・宮部久蔵の人間像を、戦友会の人々に聴いて回るという物語構成で、
ほとんどがその戦友会の方々の台詞で埋まってるんですが、
これが涙無しに読めないのです。

複数人の戦争体験者の証言を読む機会なんて普通あまり無いので、
これはよい構成だなと思います。
ゼロ戦が当時いかに世界有数の機動力を誇る戦闘機だったのか、
そのパイロットがどれほどの訓練を経て熟練したのか、
それを自分たちがどれほど誇りに思っていたかを語るおじいさんたちの口調の熱いこと熱いこと。
空中戦の臨場感も半端ではなく、脳内にありありと映し出されるような描写は秀逸と言わざるを得ない。

もちろん戦争賛美などではなく、ラバウルの過酷な戦況、
ガダルカナル島の地獄などをきっちりと描いており、
「戦後知ったのだが」と語りながら軍上層部を痛烈に批判する
おじいさんたちの語り口には目が離せません。

特に宮部久蔵を恩人と語る井崎老人の回顧録が心を震わせます。
電車で読んでいて涙腺崩壊三秒前な自分に狼狽しました。
この経験はさだまさし著作「精霊流し」以来。

このおじいさんたちの体験談が強烈で凄惨な内容にもかかわらず
どこか心地よく、なんだか、ずっと聞いていたくなる感じがするのです。

冒頭で主人公が「特攻隊員として戦死」することがわかっているので
ラストシーンに向かうにつれて心は辛くなるのですが、
一気に引きこまれてしまいます。

戦時中の若者の知性と、現代パートにおける若者のそれとが
明らかに違いすぎるように描写されている点や、現代パートの恋愛描写が意図的なのか
どうなのかはわかりませんが非常にチープに描かれてるあたり、
ひっかかるところも無いではないのですが、全体を通じて感じるこの「血沸き肉踊る感」が
それを補って余りあるし、それを通じて伝えられるテーマやメッセージを思えば
非常によくできた作品だと思います。

来年映画化されるという話ですが、邦画における歴代の戦争映画の出来を思えば
大きな期待は到底出来ないので、映画の2時間でこの物語を消化してしまう前に
是非原作を手にとって頂きたい。

「戦争とか悲惨なハナシ大キライなんだよね~」という方や
「軍人とかみんなはんざいしゃだとおもいます!」という特殊なイデオロギーをお持ちでない方で
本作を未読の方には是非オススメしたい作品です。

永遠の0 (講談社文庫)永遠の0 (講談社文庫)
(2009/07/15)
百田 尚樹

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Re: No title

菅野叶和子さん、はじめまして!
永遠のゼロ、感想に共感いただきうれしく思います^^
これを読んだのは少し前になるんですが、どうしても感想を書いておきたくて
読んでいた当時のTwitterなどを見て、当時の気持ちを蘇らせて書きました^^
内田康夫の「靖国への帰還」なんかも特攻隊員が現在にタイムスリップするという
荒唐無稽なファンタジーものながら、当時の人間が現在日本を見た時どう思うだろう
というのを仮体験できてなかなか面白いですよ!
あと、太宰治の「12月8日」なども当時の日本の空気を味わうのに優れた作品だと思います。
ではでは~^^コメントありがとうございました!

No title

はじめまして。
菅野叶和子と申します。
突然のコメント申し訳ございません。

「永遠の0」と「精霊流し」は私も電車で読んでいて、私はこらえきれず泣きながら読んでいました。
どちらも本当にいい作品ですよね~。
「永遠の0」は、あまりにも心が揺さぶられすぎて、本の感想が書けなかったので、こちらのレジュメを拝見して、「そうそう!」と共感しながら読ませていただきました。

榎本さんとは、本の趣味が合うのかも・・・と勝手に思って嬉しくなり、コメしてしまいました。

どうも失礼いたしました。
プロフィール

榎本よしたか

Author:榎本よしたか
フリーランスのイラストレーター兼法廷画家です。書籍やテレビ番組用に絵を描いています。アコースティックギターと歴史雑学が好きです。

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