「同窓会のお知らせ」


送られてきた複数の郵便物をいつものように整理していたら
一枚の封筒が目に留まった。

「同窓会のお知らせ」

1992年、中学校の卒業生全クラスの合同同窓会だと言う。

「つきましては、久々に近況などを語らいながら、旧交を温め、
親睦を深めたいと思います。」

同窓会発起人名に懐かしい名前が並ぶ。

中学生時代。

暗く憂鬱なあの時代を振り返って思う。
どうしてああも同年の人間たちは醜かったのだろうか。

人を思いやる心の欠片も無く、
ただ毎日目にしたものは、言葉の暴力。物理的な暴力。
いじめる者、いじめられる者。
他人を無価値だと決め込み、陥れることで
ちっぽけな自分の虚栄心を満足させて悦に入る輩。
「不安定な時期」というが、なにかそういうものと別なものを
当時から感じていた。
根本的に、「人間でない」と予感させるものさえあった。

コンピュータのように記憶を完全に消去できるのならば
今すぐにでもあの3年間を亡きモノにしたい。

いくら硬く閉ざして心に鍵を掛けても
こんな封書の一枚で鮮明に蘇り始める黒い記憶の数々。


いじめられて自殺を決意した者たちに言いたい。

「気持ちは分かる。だが先は長い。生きろ。」

今、僕が生きているのは、たまたまに過ぎない。


あの連中が三十路に入り、どのように変化したのか
あるいは変わっていないのか、まったく知りたくないわけではない。

けれども、僕の心は未だ弱く、
手にした封書をめちゃめちゃに引き裂いては、
ただ、蘇りつつある記憶をまた奥に押し込めて
硬く閉ざし、鍵を掛けてしまうのだ。

紙くずを放り込んだゴミ箱を空にしたときに、
完全にそれが脳から消去されるのを願いながら。

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榎本よしたか

Author:榎本よしたか
フリーランスのイラストレーター兼法廷画家です。書籍やテレビ番組用に絵を描いています。アコースティックギターと歴史雑学が好きです。

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